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あらすじ
このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける“鍵”となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった―。前代未聞、驚天動地のエンターテインメント、始動。
読書感想文&書評
祖母の家にオレオレ詐欺の電話がかかってきたことがある。明らかにオッサンの声だったと聞いた。ちなみに私の声はお兄さんである。祖母は機転の利く人間だが、その才能を発揮するまでもなく一蹴したらしい。電話の主はよほどお金に困っていたのだろう。もしかしたら、金正日だったかもしれない。
しかし、そんなオレオレ詐欺をやっている輩には『プリンセス・トヨトミ』を読んでもらっては困る。おそらく詐欺の成功率が上がってしまうからだ。
なにせ、日本の中に“大阪国”という国が密かに存在しているという、到底ありえない設定を、「もしかしたら本当かもね」と、つい思ってしまう。かなり緻密にストーリーを考えないと、これほどの完成度にはならない。
この完成度の高さの、その最たる部分は第四章にある。“大阪国”の成り立ちを、実際の歴史に絶妙なフィクションを織り交ぜて語り、さらには“大阪国”があることで現在の大阪人の気質が出来上がったという、“さもありなん”な解釈まで披露している。小説で語られるハッタリも、ここまで素晴らしいとアッパレである。
第四章を過ぎれば、後はもう楽しさ全開のストーリーが待っている。第四章より前の部分も当然面白い。個人的には、登場人物の個性や行動、やりとりが『鹿男あをによし』よりも楽しかったし、ストーリーの出来具合にも文句のつけようがないと思う。
おそらく、2009年マイベストブック・ベスト5には入るだろう。これからは、万城目学の新作は無条件で買うことにしよう。
関連ページ
・プリンセス・トヨトミ(オンライン書店ビーケーワン)に書評を投稿しました(外部リンク)
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・『鹿男あをによし』(万城目学) <感想&書評>
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